No.95 2001/06/10
セールス電話撃退法(受付係心得編)

 第22回第23回第24回では、職場にかかってくるセールス電話の撃退法を述べました。自宅にかかってくるセールス電話の撃退法については、第91回で述べました。私が書いたセールス電話撃退法の記事は、Gabacho-Netやほかのサイトの掲示板で反響を呼んだことがあります。社長秘書の仕事をしていた人は、秘書を見下すような態度で取り次ぎを強要する敵にくやしい思いをさせられたという体験を述べてくれました。開業歯科医の方は、あたかも知り合いであるかのように錯覚させて受付係に取り次がせる敵についての体験を述べてくれました。今回は、要職の人(社長や医師など)に電話を取り次ぐ受付係の人がセールス電話を撃退するための心得について述べましょう。

 受付係にとって悩ましいのは、要職の人(以後、「上司」と呼びます)がすぐに取り次いでほしいと望む相手なのかどうかを判断しにくいことでしょう。上司の知り合いであるかのような口の利き方をして取り次がせようとするセールスマンがいます。取り次ぐと、上司は「くだらんセールス電話を取り次ぐな」と怒るかもしれません。一方、業務に関係がある会社からのセールス電話は取り次いでほしいと上司が思う場合もあるでしょう。
 そこで、受付係の人は、あらかじめ上司と話し合って、どういう人なら取り次いでよいかを聞いておくことです。それは、次の二つに分類できます。 これらをリストアップするには、上司が持っている名刺を見せてもらうのがよいでしょう。

 そして、応対方法をマニュアル化しておきます。例を示します。

相手が名乗る会社名が怪しい場合
 迷惑なセールス電話はたいてい、甲高い声で、作り笑いを感じさせるようなしゃべり方です。電話受付業務にある程度慣れれば、すぐにわかるようになるものです。しかし、予断は間違いの元です。意外にも取引先だったとか、上司の知人だったということもあるかもしれませんから、慎重に応対する必要があります。
「株式会社アック・トックの藻毛々と申しますが、社長さんはいらっしゃいますか。」
「株式会社アック・トックの藻毛々様でいらっしゃいますね。少々お待ちくださいませ。」
(ここでリストを検索して、取り次ぐべき法人名にも個人名にも見つからなかったとします。)
「お待たせいたしました。社長はただ今会議中ですので(注:言い訳は嘘でもよい)、終わりましたらこちらからご連絡するように申し伝えます。ご用件とご連絡先をお教えいただけますか。」
(セールスだった場合は、たいてい、連絡先を言わずに退散します。もし用件と連絡先をちゃんと言ったら、上司に伝言してあとの処置を任せます。)

相手が知り合いであるかのようなしゃべり方をする場合
 相手が自分を知らないかもしれない場合は「○○と申します」という名乗り方をするのが常識というものですが、「○○です」と言って、あたかも上司の知人であるかのように錯覚させようとする奴もいるようです。しかし、そういうしゃべり方をするのが上司の先輩や恩師である可能性もありますから、これまた慎重に応対する必要があります。
 次に示すのは、敵が名乗る姓が上司の恩師とたまたま同じだった場合の例です。
「鬼河原ですが、社長はいらっしゃいますか。」
(こういうしゃべり方をしそうな人の個人名をあらかじめ頭に入れておきます。)
「鬼河原様…○○大学の鬼河原先生でいらっしゃいますか?」
「あ、いや…バブリー不動産の鬼河原ですが。」
(所属を白状したら、リストをチェックします。あとは前記のやり方と同様です。)
「少々お待ちくださいませ。…お待たせいたしました。社長はただ今会議中ですので、終わりましたらこちらからご連絡するように申し伝えます。ご用件とご連絡先をお教えいただけますか。」
 この例で、相手が本当に上司の恩師だった場合は、その人は「姓を言っただけで秘書が私をわかってくれた。さすが○○君の秘書だ」と思ってくれて、上司とあなたの株が上がることは請け合いです。
 相手が所属組織も上司との関係(友人であるなど)も言わず、姓しか名乗らない場合、取り次いでよいかどうかがリストからわからないならば、
「失礼ですが、フルネームをお願いできますか?」
と求めてもよいでしょう。要職にある人への電話の取り次ぎを求める時に姓しか名乗らないのは、より高い地位の人(先輩や恩師など)でない限り、失礼というものです。敵が受付係を見下すような態度で「さっさと取り次ぎたまえ!」と言っても、ひるんではなりません。上司を時間の浪費から守るのが自分の責務だと自覚して、毅然たる態度で「お取り次ぎにはフルネームを伺うよう申し付けられております」と言いましょう。

 ここで示した応対マニュアルでは、相手がセールスと思われる時には取り次がずに相手の連絡先を聞いて上司に伝言するという方法をとっています。しかし、それがよいかどうかは、上司の考えによります。誰からの電話であるかを知らせてもらってから、電話を回してもらうかどうかを決めたい思う上司もいるかもしれません。そこは、事前に話し合って方法を決めておいてください。

目次 ホーム