No.160 2016/06/18
近視になりかけたら遠視用の眼鏡を買え

◆近視になりかけたら遠視用の眼鏡を買え◆
 良い視力の眼とは、無限遠からなるべく近くまでピントが合う眼である。そのためには、毛様体筋の力を抜いた時に無限遠の像が網膜に正しく結像するよう網膜の位置が調整されている必要がある。人工物のカメラなら寸法を決めて組み立てるが、生命体ではそうはいかない。ではどうやって調整されるのか?
 新生児の眼は、水晶体から網膜までの距離が短いので、遠視と考えられる。遠視の眼では、遠くを見る時にも毛様体筋を緊張させる必要がある。そこで、成長するにつれて、毛様体筋の緊張がなるべく少なくて済むように眼球が後ろへ膨らんで網膜を後退させる。こうして眼球は最適視力に向けて適応変形していく。
 ところが、勉強などで近くを見続けていると、毛様体筋の緊張が長時間強いられ、眼球はそれを緩和しようとさらに網膜を後ろへずらす。そのため、遠方へのピント合わせが犠牲になる。これが近視である。近視になりやすい眼とは、実は眼球の適応変形力が高い眼である。近視の度が進むというのは、この適応変形力によるもので、若いほど高く、20歳を過ぎると低くなっていく。
 パイロットや宇宙飛行士を目指したいから、猛勉強が必要だが近視になりたくないという人はどうすべきか。長時間勉強する時には遠視用の眼鏡をかけるとよいだろう。たとえば+1ジオプトリの凸レンズの眼鏡をかけると、40cm(2.5ジオプトリ)先の本を見る時の毛様体筋の緊張は67cm(1.5ジオプトリ)先を見る時と同じで済む。目を上げると1mよりも遠くがぼやけるが、それは気にしないこと。黒板を見る必要がある学校では使えないが、家で長時間勉強する時には使える。それで毛様体筋の緊張時間が減り、近視を防げるはずである。学校で黒板が見えるように作った近視用の眼鏡は、家で長時間勉強する時にはくれぐれもかけっぱなしにしてはならない。
 冒頭のぶっ飛んだ仮説は、私の思い付きであり、実証したものではない。しかし、私にはこの論理的帰結が誤っているとは思えないのである。

If you get shortsightedness, you should buy eyeglasses for longsightedness. -- This strange hypothesis comes from the fact of the adaptive transformation of the eyeballs. When you see near for a long time, your eyeballs transform so that the retinae recede; this is shortsightedness. In order to avoid shortsightedness, it might be a good way to use eyeglasses with convex lenses to relief the stress of the ciliary body muscle when you study at home for a long time. Although this hypothesis is just my idea, I don't think it is wrong because it is a logical conclusion.

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