パナソニックのノートパソコン・Let's noteシリーズは、初期のころからFD(フロッピーディスク)ドライブが外付けになっていました。かつては私は「FDドライブが本体内蔵になっていた方が使いやすいんだけどなあ」と思っていましたが、この設計コンセプトには先見の明があったと思います。
昨今ではFDの重要性が低くなってきました。マウスやPCカードなどの周辺装置に添付されているドライバソフトの媒体にはCD-ROMが使われることが多くなっています。また、CD-ROMドライブ内蔵のパソコンは、CD-ROMから起動するようにBIOS(Basic Input/Output System)を設定できるのが普通になっていますから、OSのインストールのための起動にもFDドライブは必ずしも必要でなくなっています。ノートパソコンの携帯のしやすさのためには、FDドライブは本体から追い出してしまった方が好都合です。むしろ、CD-ROMドライブが内蔵されている方が重宝です。
先ごろ、2台のWindowsパソコンが共に故障してしまい(
第52回参照)、新しく買ったのがパナソニックのCF-M1EVというノートパソコンです。薄くて軽い本体にCD-ROMドライブが内蔵され、FDドライブ(標準添付)は外付けです。
さて、このほど息子にもパソコンを買ってやりました。富士通のFMV-NJ4/45Dというノートパソコンです。ディスプレイがさほど細かくない(800×600ドット)ものの、DVD-ROMドライブ(もちろんCD-ROMも読める)内蔵で売価が20万円を切る安さ。DVDのビデオソフトを買った時に息子のパソコンを借りることをもくろんで選びました。(^^)
この機種では、FDドライブに対する割り切りはLet's noteシリーズよりもさらに徹底していて、USB(Universal Serial Bus)インタフェースの外付けで別売(標準価格12,000円)になっています。私はそれを買いませんでした。最近買った無線LANにこのパソコンを接続することにしていて、その無線LANのPCカードのドライバはCD-ROMで添付されています。LANにつながってしまえば、もしFDが必要になっても、CF-M1EVのFDドライブをLAN経由で共有すればよいと考えたのです。
ところが…
パソコンを買って帰ってからはたと気付きました。無線LANに接続するには、無線LANカードのドライバをCD-ROMからインストールするだけではだめです。有線LANにつながるパソコンからステーション(無線基地局装置)を設定した時、その設定情報をFDに書き込んであります。無線LANにつなぐパソコンには、そのファイルを読み込ませなければなりません。FDでなくても、何らかの方法でパソコンに取り込む必要があります。LANにつながってしまえば簡単にできるのですが、LANにつなぐのをこれからやらなければならないのです。さて困った…
有線のLANカードはあるので、まずそれでLANにつなごうか。でも、そのドライバはFDで供給されている。さて困った…
Windowsの「ケーブル接続」でつなごうか。でも、パラレルのインターリンクケーブルは持っているけど、FMV-NJ4/45Dには従来型のパラレルインタフェースが付いていない。USBインタフェースはあるけど、USBケーブルは持っていない。さて困った…
そこでひらめきました。3ComのEtherLink IIIというLANカードを持っていました。これは、古いノートパソコンをサーバに仕立てるために、TurboLinuxというOSがサポートしているものを選んで買ったものです。TurboLinuxがサポートしているメジャーなカードであれば、Windows 98もそのドライバを持っているのではないか。
さっそく、コールドスタンバイ(ふだんは電源を入れずに待機)しているサーバ予備機からEtherLink IIIを抜き、FMV-NJ4/45Dに差し込んでみました。おお、ばっちり!ドライバの媒体の挿入を要求されることなく、すんなりセットアップがすんでしまいました。
これでいったん有線LANに接続し、無線LANステーションの設定情報ファイルをCF-M1EVから取り込んで、めでたく無線LANに接続することができました。かくして、12,000円の外付けFDドライブを買わずにすみました。
でも、EtherLink IIIを持っていたからよかったものの、それがなければどうすればよかったでしょうか。
またひらめきました。無線LANステーションの設定ファイルを
Gabacho-Netのサーバに置きます(もちろんファイル名は自分だけの秘密)。一方、FMV-NJ4/45Dには内蔵モデムがありますから、電話回線からダイヤルアップでインターネットに接続することができます。そこで、ウェブブラウザを起動して、インターネットを回って自分のサーバにアクセスし、ファイルをダウンロードします。電話料金はかかりますが、FDドライブを買うよりもはるかに安くてすみます。
常時接続のインターネットサーバを持たなくても、自分のウェブの発信のためにウェブサーバを借りている人なら、同じ方法をとれます。
ファイル保管サービスを利用する方法も考えられます。すぐそばにあるパソコンへファイルを移送するのに、何百、何千kmもの回線を経由させたってかまわないのです。
パソコンからパソコンへファイルを移すための手段としては、FDはその役割を終えつつあります。私はいつもLAN経由でファイルを転送しています。大容量の媒体としてPD(相変化光ディスク)も持っていますが、最近ではほとんど使わなくなりました。今では10GB程度のハードディスクが当たり前になってきているので、一枚が650MB程度のMO(光磁気ディスク)やPDではバックアップ媒体としても力不足でしょう。私は、2台のパソコン間でLAN経由でファイルを転送してバックアップにしています。
これからは、ファイル配布用の安価な媒体としてのCD-ROM、および超大容量のDVDを除いてはリムーバブル(着脱可能)媒体はすたれていき、一方、LANやインターネットがファイル移送用媒体としてさらに活用されるようになるのではないかと思っています。