No.21 1999/12/12
不思議な夢

 私が小学生だったころにテレビ番組で聞いた話です。
 夢を研究していた人が、ある晩不思議な夢を見ました。自分が犯罪を犯して逮捕され、死刑判決を受けて断頭台で処刑されるという、かなり長い夢だったそうです。夢の中で処刑された瞬間に目が覚めて、気が付いたら、そばに立てかけてあった棒が倒れて首に当たったところでした。まるで、棒が首に当たることを予知して夢の中でストーリーが進んでいったかのようです。
 このことから、その人は、夢は一瞬の間に見るものではないかという説をとなえました。しかし、寝ている人のそばで何度か物音を立てて、そのあと起こして、どんな夢を見たかをきくという実験によれば、夢の中と現実とでは時間の経過には差がないことがわかっているそうです。

 このような不思議な夢は、私も見たことがあります。小学生のころに怪我で入院していた時のことです。
 夢の中に、ミッキーマウスに似たアニメのキャラクターが現れました。そして、手前の方からそのキャラクターに向けて鉄砲がにょっきりと現れてきました。そして「バンッ!」と発砲。そのキャラクターは、びっくりして飛び上がり、空中でくるくる回転して、どしんと落ちて尻餅をつきました。
 そこで目が覚めた時、夢の中の鉄砲の音は、病棟内の別の部屋のドアが激しく閉まった音だったということに気付きました。ドアの音が聞こえる前に、夢の中で鉄砲が現れた時点でそれを予知していたかのようです。

 肉親の死を、知りようがないはずなのに夢で予知したという話も聞きます。私が見たような不思議な夢も、人間の潜在的な超能力による予知夢だと考える人もいるでしょう。
 しかし、人間の脳の働きにはまだまだわからないことがあります。時間の経過の認識が、夢の中でもいつも覚醒中と同じだとは断言できないと思います。私の夢の場合、「バンッ!」という音が聞こえて目が覚めた時に、鉄砲がにょっきり現れて発砲するというつじつま合わせのストーリーを夢として思い出したのかもしれません。冒頭で述べた、夢の研究家が見た夢も、その人が言うとおり、脳の中で一瞬のうちに組み立てられたストーリーであって、目覚めてから思い出してみれば、夢の中で長い時間経過があったかのように認識されたのかもしれません。

 12月12日(日)、日本テレビ系の「特命リサーチ200X」で、第六感の科学的分析について取り上げられました。なぜだかわからないが、いやな予感がして、結果的に危機を回避できたという事例がよくあります。それは、無意識のうちに知覚された振動や匂いなどの情報が、無意識のうちに過去の記憶と照らし合わされ、本能的に危険を感じる扁桃体という部分に信号が伝わるからだそうです。
 この番組の予告があったので、何か参考になる情報があるかもしれないと思い、この記事を書くのを延期していました。結局、不思議な夢を説明できる情報は得られませんでしたが、現在では脳の働きの解明がかなり進んでいることはわかりました。予知夢や、私が見た幽霊(第5回参照)など、さまざまな不思議なことが科学的に解明される時が来るのが楽しみです。

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