No.80 2001/02/01
機内では巡航中もベルト着用を

 羽田発那覇行きの日本航空ジャンボ機が静岡県上空で別の日本航空機とニアミスを起こし、衝突回避のために急降下して、乗客30人と乗員12人が怪我をするという事故がありました(2001年1月31日)。
 巡航中(安全な高度に達した後)だったため、席から立っていた客室乗務員が怪我をした(全員軽症ですんだようですが)のはやむを得なかったにしても、多くの乗客が怪我をした(中には骨折した人もいた)ということは、座席ベルトを着用していなかった人が多かったのでしょう。
 飛行機が離陸後安全な高度に達するまで、および着陸態勢に入った後は座席ベルトを着用しなければならず、トイレに立つことも許されませんが、巡航中は(気流で揺れていない限り)ベルト着用は強制されません。しかし、「ベルト着用のサインが消えても、着席中はベルトを着用していてください」というアナウンスはあるし、座席にもそう表示されています。それを守っていない人がかなりいたということでしょう。

 私も、かつては、ベルト着用のサインが消えたらベルトをはずしてくつろいでいたことはあります。しかし、ある時から考えを改めました。
 巡航中に客室乗務員が乗客の世話のために立っていても、それは、乗客もベルトを着用していなくても安全だという意味ではありません。トイレに立つことが許されていても、その間に突然揺れて怪我をすることがないと保証されているわけではありません。いつなんどき大きく揺れて天井にたたきつけられないとも限りません。しかし、着席中にはベルトを着用するようにしていれば、自分がそのような怪我をする確率は減らすことができます。
 ベルトを着用していなかった乗客が怪我をするほどの揺れが起こった時には、立っていた客室乗務員が怪我をしている可能性は高いでしょう。しかし、彼らは自らの怪我をおしてまでも、怪我をした乗客の救護にあたろうとするでしょう。それが責務だからです。その時に救護対象になる乗客はなるべく少ない方がよい。自分が救護される側になっては、客室乗務員の負担はそれだけ大きくなります。なるべくその危険は避けた方がよい。自分が怪我をしなければ、救護を援助する側に回ることができます。
 そう考えるようになって以来、私は、トイレに立つなどでやむを得ない時を除いて、着席中は必ずベルトをはずさずにいます。

 これも、自分の身を自分で守る危機管理です。皆さんも、飛行機に乗る時にはぜひ守ってほしいと思います。

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