No.74 2000/11/28
行儀の良い子供たち

 通勤でJR京浜東北・根岸線の電車に乗り、降車駅の階段近くの車両へ移動しようとした時です。小学生の集団に出会いました。
 たいてい、小学生の集団はうるさいものです。通常なら、私は、うるさいのが不愉快だから、小学生の集団に近付くのを避けていたでしょう。しかし、彼らは静かだったのです。
 しゃべらないように調教されたお上品な坊ちゃん・嬢ちゃんたちではありませんでした。ごく普通の小学生たちでした。しゃべってはいました。ただ、みんなひそひそ声だったのです。ふざけ合っている子もいましたが、声を押し殺していました。「静かにしろよ」と、やはりひそひそ声で、大声にならないように警告している子もいました。とても上品とは言えない言葉遣いでしゃべっている女の子もいましたが、やはりひそひそ声でした。
 エネルギーのあり余っている子供たちに「電車の中でしゃべるな」と言っても無理です。ただ、「大勢が普通にしゃべるとついつい大声になるから、ほかの乗客に迷惑にならないように、しゃべるならひそひそ声で」と先生から言われていたのでしょう。
 私が子供だった時も、集団で電車に乗ったことはありましたが、そのように注意されていた覚えはありません。周りに気を遣うことを知らなかった子供の時には、私もほかの乗客に不快感を与えていた一人だったかもしれません。
 私は、このような教育をしている先生と、言いつけをよく守っている子供たちに敬意を持ち、快い気分になりました。

 「今時の若い者は」とか「今時の子供は」と言いながら、電車の中で携帯電話の着信音をけたたましく鳴らしたり、傍若無人に大声でしゃべる大人たちよ、この子たちの爪の垢でも煎じて飲むがいい。

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