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迷惑メールを97%阻止 S25Rの真髄


   

帯文(表)
無名の一日本人の偉業!
あなたも迷惑メールの被害から守られていた。
迷惑メール対策方式「S25R」について、その開発者である著者が発想から完成、幅広い活用に至る過程を綴る。情報漏洩防止などの解説も必見。

帯文(裏)
あなたも恩恵を受けているかもしれない、
日本発祥の迷惑メール対策方式「S25R」。
その常識破りのアイデアはいかにして生まれたか。
批判者はどういう固定観念に囚われていたか。
なぜ多数のサイトに広まり11年の実績を築いたか。

本書の目的
S25Rとは、私が趣味の一環で2003年に考案し、2004年にインターネットに無償公開したスパム(迷惑メール)対策方式です。フルネームを「Selective SMTP Rejection(選択的SMTP拒絶)スパム対策方式」といいます。SはSelectiveから、25はSMTP(Simple Mail Transfer Protocol:簡易型メール転送プロトコル)をそのポート番号(プロセス(処理)を識別する番号)に置き換えたもので、RはRejectionから採ったものです。

S25Rの仕組みは、受信側のメールサーバーで、メールの送信元コンピュータの名前の特徴に基づいて、送信元がメールサーバーでなくエンドユーザーコンピュータかもしれないと推定して通信を止めるというものです。メールの内容が迷惑なものかどうかとはおよそ無関係な判別方法で迷惑メールを97〜99%阻止できるという、発表当時としては常識破りのやり方でした。

平和なメール生活を陰で守る 当初は「真っ当なメールも受信できなくなる」「そんな効果があるはずがない」と批判や嘲笑を受けました。しかし、あまりの簡便さとあまりの効果、そして真っ当なメールはちゃんと受信できるという安全性に驚いた多くのメールシステム管理者から絶大な支持を受け、国内の企業、学校、ISPなど、推定1000以上ないし数千のサイトで(一部海外でも)採用されるに至りました。メールセキュリティシステム製品にもS25Rのアイデアを取り入れたものが現れています。S25Rは知らないが迷惑メールにはさほど困っていないとおっしゃるインターネットユーザーの皆さんも、もしかしたらS25Rの恩恵を受けておられるかもしれません。

対象読者 本書は技術専門書ではなく、一般のインターネットユーザーの皆さんを対象としたものです。メールシステムの仕組みや迷惑メール対策技術についてかなり突っ込んだ話をしますが、情報技術者でない方にもなるべくわかりやすいようにと心がけて書いています。

知っていただきたいこと 本書で皆さんに知っていただきたいことは、まず、世界中のインターネットユーザーを悩ませている迷惑メール問題が、日本の一個人が考案したこの簡単な仕組みによって、これを採用した人たちのサイトではすでに解決されているという事実です。そして本書では、完成後11年を経て今なお多くのサイトで強力に迷惑メールを排除し続けているS25Rの歴史を振り返り、それを発案した私の発想や努力、また他の人たちからの協力がどういうものであったかを紹介します。常識に囚われない発想をするため、そして発明を真に世の中に役立つものに育てるために何が必要か、また、多くの人たちから感謝をいただいたS25Rを当初否定していた人たちはどういう考え違いをしていたのかという教訓を読み取っていただければと思います。

一般ユーザー向けの情報 S25Rはメールサーバーで迷惑メールを受信拒否する方式であり、一般のインターネットユーザーが直接適用できるものではありません。しかし、「Becky! Internet Mail」というメールソフトを使うと、S25Rを応用した方法で迷惑メールを97%以上自動的にごみ箱送りにすることができます。その方法を『16. Becky! Internet Mailへの応用』の節で説明しています(他のメールソフトをお使いの方には、『13. 他のボランティアによる発展』の節で紹介している「MailUtl3」というソフトウェアを使う方法があります)。また、迷惑メールによる詐欺などの被害から身を守るために重要なことを『20. スパムにだまされない情報リテラシー』の節で説明しています。
 なお、携帯電話の迷惑メールについては、そのメールアドレスを拒否する、許可したメールアドレス以外を拒否する、自分のメールアドレスを変更するなど、携帯電話会社が推奨する方法以外に良い対策方法がなく、S25Rのアイデアは役に立ちません。ご了承ください。

情報技術者向けの情報 付録では、PostfixというメールサーバーソフトにS25Rを設定する方法を簡単に説明しています。本書でS25Rに関心を持たれた情報技術者の方は、技術的な詳細についてはインターネットで検索して情報を入手してください。

本書の目次
本書の目的
用語の説明
1. スパムとは何?
   コラム 1999〜2001年に私が受けたスパム
2. いたちごっこの道のり
3. メール配送ルートの制限
4. 送信元ホストの判別
5. どれほどの効果?
   コラム 英文下手でも
6. ブロッキング方式は良い
7. 誤判定リスクとのバランス
8. 発想の原点
9. 気配りの思想
   コラム 間違った使い方
10. 運用は真剣勝負
   コラム 困り者のメール送信サーバー
11. 誤判定からの救済の自動化
12. ホワイトリストの好循環
   コラム 常軌を逸した自動ダウンロード
13. 他のボランティアによる発展
14. 称賛の声
   コラム いただいた謝礼
15. 批判の声
   コラム 普及を予見できなかった人たち
16. Becky! Internet Mailへの応用
17. ブラックリストサービスの精度
18. こんなスパム対策はひどい!
19. バウンシングバック認証方式の弊害
20. スパムにだまされない情報リテラシー
   コラム 危険はないと言い切る勇気
21. 情報セキュリティ啓発のための韻踏みラップ詩集
結びの言葉
付録 S25Rの設定方法
索引
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